2008年の広島カープの総括を行います。1年間通しての打撃部門の総括です。
1.4番の勤め
今シーズンやはりカープの打線を支えてきたのは間違いなく栗原だ。新井が抜け、開幕から4番を任され唯一全試合スタメン出場、23本塁打(リーグ9位)/103打点(リーグ4位)/打率.332(リーグ3位)。その他ほとんどの成績でチームトップを 記録(※2008年個人打撃成績参照)している。やはり4番が1年間どっしりと腰を据えているのはチームとして大きい。強いて言うなら本塁打が少ない。市民球場を本拠地にしていて23本は物足りない。30本は打ってほしかった。
2.打撃開眼
今年プロ入り10年目にして初めて3割に到達した東出の活躍も大きかった。自分の役割を理解しており、ボールをよく見ていく姿勢が今年は目立った。一時打率が.350あったものの終盤落ちていき最終的には.310に終わったが、出塁率も.341と過去 最高を記録し今年はよくやったと思う。来年は新球場になり広くなるので足を生かした走塁にも期待したい。
3.期待の選手
若手の台頭というところでは天谷、そしてルーキーの小窪、阪神から移籍してきた赤松の成長もあり、チーム力の底上げができた年になったと思う。3人とも規定打席には到達しなかったが、ほぼレギュラーを獲得した(赤松と天谷は右・左投手 によって入れ替わり出場という場面もあるが)ので、来年が楽しみである。
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個人的には来年喜田が一番期待する選手だ。バッティングに関してはパンチ力もあり、使い続けると結果を残していく力はあると思う。しかし守備がはっきりいってアマチュアレベルだ。今シーズンも肝心なときにエラー連発で投手の足を引っ張る 場面もあり、このままでは代打起用しかチャンスはない。守備力を上げ来年はレギュラーを勝ち取ってほしい(もしシーボルが残留すれば、三塁をシーボルと争うことになる)。
心配な選手もいる。梵だ。去年なまじ本塁打が出たもので(18本)、大振りをしたのかどうかは分からないが、今シーズンは97試合に留まり入団3年目にして初めて規定打席に到達できずレギュラーも小窪に奪われた格好だ。本塁打はたまにでいい、 それより出塁率をあげるべきだ。ちなみに入団3年の出塁率:.332/.330/.289。来年は.350を期待したい。足は速いので新球場に移るわけだから足でかき回すことも考えたほうがいい。
4.外国人の活躍は?
まずアレックス。142試合出場/15本塁打/76打点/打率.306はまず合格点と言っていいだろう。ほぼすべてにおいて栗原に次ぐ成績なので3番バッターとしての役割は果たした。欲を言うなら本塁打を20本・打点80は超えてほしかった。また併殺打21 とリーグワースト1位なのはいただけない。しかし3番アレックス・4番栗原とシーズン通して固定できたのは大きかった。
次にシーボル。シーボルはなかなか評価しにくいバッターで、来年残留か解雇か意見が分かれるところだろう。成績は110試合出場/15本塁打/53打点/打率.273。正直微妙だ。終盤に来てヒット・本塁打が出始め打率も.250台から.273まで押し上げ、 本塁打もアレックスと同じまでもってきたことを考えると、来年はディアスのように大化けすることも考えられる。しかし変化球にタイミングが合わないと簡単に打ち取られてしまったり、新井の代わりに長距離砲として採ってきたことを考えると 物足りないのも事実なわけで(来年本塁打が量産することはないだろう)、残留するかは迷うところだ。
5.ベテランの使い方
今シーズン緒方は一貫して代打として使ってきた。コーチ兼任ということもあり成績自体は低調だが、楽天戦での同点3ランなど「見せて」くれたしよく頑張っていたと思う。 しかし前田の使い方には疑問が残る。前半戦は先発出場が多かったが、嶋が復調してくると後半戦は全て代打起用に回った。一貫性がなく今シーズンの前田をどういう形で使おうと思っていたのか疑問だ。後半戦の代打成績は20打数10安打6打点 3四球。この代打の成績はよく打っているといってよい。それなら前田は代打のほうが向いているんじゃないかと思われるかもしれないが、そうとは思わない。後半戦はたまたま5割打ったが、来年も年間通して5割打つことは不可能だろう。代打 専門の大道・立浪・桧山を見ればわかるとおり前田の年間通しての.372は出来すぎだ。前田はもともと4打席入って1年間通して結果を出すタイプだと思っている。それに故障もしていないのに後半戦52試合で23打席しか入らないのならば、 1年換算でも63打席しか入らないことになり正直もったいないとも思う。
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それではチームとしてどうかと考えてみる。相手チームからすると前田が取って置きの代打として控えていたとしても8,9回に上位打線に回ったら出場の機会はないわけで、それなら4打席たたれるほうが嫌だろう。守備に関しては足のことがある ので赤松・天谷にくらべれば守備範囲は広くない。アレックスの肩に比べれば負ける。しかし嶋と比較すると遜色はないはず。
ブラウン監督は若手を使っていくという方針らしいが、嶋が若手かというと32歳なので当てはまらない。嶋は後半戦もずっと調子を維持していたわけではないことを考えると、嶋をずっと使い前田を代打と決めた根拠が理解できない。ある程度 柔軟に対応してうまく併用していくのがベストだったのではないかと思う。 もちろんこれには賛否両論あると思うし、最後はブラウン監督の判断なので致し方ないが・・・。
赤松と天谷が3割打ってくれると(.260前後では二人同時には使いずらい)、アレックス・赤松・天谷の3人で外野を守り、前田・嶋が代打で控えるというのが理想なのかもしれない。新球場を考えると、守備力・走力が今まで以上に重要になってくるはずである。
≪各チームの取って置きの代打の成績≫
名前 |
打数 |
安打 |
打点 |
四死球 |
打率 |
大道(巨人) |
62 |
17 |
16 |
5 |
.274 |
桧山(阪神) |
110 |
33 |
19 |
10 |
.300 |
立浪(中日) |
73 |
15 |
10 |
12 |
.205 |
前田(広島) |
43 |
16 |
9 |
6 |
.372 |
鈴木尚(横浜) |
45 |
12 |
4 |
4 |
.267 |
※前田は代打のみの成績です。スタメンでの成績は入っていません。その他の選手は年間の成績です。
※筆者が「取って置き」と思っているだけなので、違っているかもしれません。ヤクルトは正直誰が取って置きかわからないので入れてません(^_^;)